なぜ営業組織にダイバーシティが必要なのか?【URUオンラインスクール実体験】
近年、日本で求められている「ダイバーシティ」という言葉。企業は、多様な人材の雇用機会を増やし、積極的に活用しようという考え方を推奨しています。
ここでは、企業、特に営業組織におけるダイバーシティとは何か、ダイバーシティが求められる理由と、それを踏まえた企業がとるべき施策について紹介します。
ビジネスや労働環境は急速に変化しています。
インターネットの登場や世界的な技術進歩に伴い、グローバル化、AI、ビッグデータ解析などの技術進歩を背景に、ビジネスや労働環境は急速に変化しています。
一人当たりのGDPは世界的に見ても低い水準
国内総生産を表すGDPについて、日本は世界第3位(2019年現在)ですが、これを一人当たりのGDPで見ると、世界第26位と大きく順位を落とします。
つまり、日本の生産性は世界的に見れば「低い」のです。少子高齢化が加速し、労働人口が減少していく中で、日本が経済大国としての地位を維持していくには、非常に厳しい状況にあると言えます。

ダイバーシティとは何か?なぜ企業にとって必要なのか?

生産性を高め、SDGs(持続可能な開発目標)を実現するためには、すべての人が参加し、能力を高め、その能力を十分に発揮できる社会と、人材の最適配置を同時に実現し、量の拡大と質の向上の両面から我が国の経済を成長させることが重要です。
全員参加の社会を実現するためには、多様性を認める取り組みが必要です。

ビジネスにおけるダイバーシティとは?

自然界に存在するすべての生物や生態系を「生物多様性」と呼びますが、近年、環境保護の観点から生態系の破壊が問題視されています。
一方、社会的な意味での多様性には、国籍、性別、種などの属性的なものと、文化、価値観、ライフスタイルなどの思想的なものがあります。
オックスフォード英語辞典によると、多様性とは、「互いに大きく異なる多くの人や物の集まり」と定義されています。
企業が多様性を獲得する必要性は、厚生労働省が4年ごとに発表する「第11次職業能力開発基本計画」(2021年発表)でも言及されており、国家的課題として企業一人ひとりが取り組まなければならないことなのです。
では、ダイバーシティの実現に向けて、企業が取り組むべき具体的な施策とはどのようなものでしょうか。

営業組織におけるダイバーシティとは?

企業にとってまず必要なのは、営業組織のダイバーシティです。
なぜなら、消費活動に従事する人が多様化しているからです。
企業における利益や生産性を向上させ、結果としてより多くの価値を提供するためには、さまざまな角度から顧客ニーズを考えることが求められています。

組織の総合的な思考力を高める

例えば、「女性を採用したので、女性をターゲットにした新商品を作って利益を上げ、企業として成長する」、「外国人社員を採用したので、外国人をターゲットにした商品を開発する」というのは、当然の効果ですが、最大の効果はこれらの面だけでなく、「組織全体の考える力を高める」ことにあります。
しかし、「組織全体の考える力が高まる」ということが、最も重要なメリットだと考えています。
会社の中で「いろいろな意見を持った人」「いろいろな状況にある人」が一緒に働くことで、少人数でも配慮しながら仕事ができるようになり、柔軟な組織としてお客様や世の中に提供できる価値も高まるのではないでしょうか。
そのような企業が増えれば増えるほど、消費活動も活発になり、生産性も向上していくことでしょう。
しかし、現在、日本で多様性を受け入れてうまく回っている営業組織がどれだけあるのだろうか。
なぜ、営業組織でダイバーシティが推進されないのでしょうか。
現在の日本における最大の課題は、女性の社会進出です。

女性の社会進出とは?現状と課題

前述したように、ダイバーシティの1つとして、女性の活躍が期待されています。
しかし、実際の数字を見ると、女性の社会進出はまだ実現されていないようです。
総務省が毎年発表している統計によると、役員を除く男性従業員の総数は2019年に3024万人であり、そのうち正社員は2234万人で77%を占めています。
一方、女性社員は2635万人で、そのうち正社員は1160万人と男性の約半分の44%にとどまっています。
つまり、男性よりも女性の方が働いていないだけでなく、働いていても、望むと望まざるとにかかわらず、非正規社員として働くことを選択する人が多く、企業における男性の正規社員比率も高いのです。
女性の正社員比率が低いため、日本では女性の管理職比率が諸外国と比較して非常に低いです。
帝国データバンクが行った「女性の登用に関する企業意識調査」によると、1989年の女性課長比率は2.0%で、年々増加しているが、2021年の統計でも8.6%と10%を超えていません。

年功序列の昇進制度

日本の女性は結婚や出産を機に退職することがあるため、勤続年数が短い傾向にある。
女性の労働力率はM字型カーブを描くとよく言われますが、最も労働力率が低いのは30~34歳の女性で、社内で営業の中核となる年齢です。
女性が子育てを終えて労働力として復帰するには、約10年かかります。
その間、男性社員は会社を辞めずに働き続けるので、必然的に男性社員の給与が高くなるのです。
このように、現在の日本の年功序列型昇進制度では、女性は管理職になる前に退職したり、フルタイムで働き続けられない傾向があるため、男性に比べて女性の管理職を増やすことが難しいのです。

育児と介護の両立

育児休業制度を利用し、職場復帰した後も、短時間勤務や非正規雇用を選択する女性は少なくありません。
また、子どもが小さいうちは、しばらく働かないという選択をする人もいます。
復帰後、働きながら活躍できる環境がなければ、管理職を目指すことは難しいでしょう。
また、子育てが一段落してバリバリ働こうというときに、親の介護が始まり、希望していた働き方が選べず、退職に至ってしまうこともあるようです。

あらためて、ダイバーシティとは何か?働きやすい組織づくりと事業の成長

「働きたくても働けない」女性社員が、企業努力によって生き生きと働ける環境を作ることで、離職率が下がり、結果的に企業の事業成長にもつながります。
簡単なことではありませんが、その第一歩として、性別に関係なく働きやすい組織づくりを心がけてみてはいかがでしょうか。
例えば、個人のニーズに合わせた雇用や働き方の選択肢を用意したり、フルタイムやパートタイム、オフィスワーク、在宅勤務など、柔軟な働き方ができる制度を整えたりすることで、働きやすさは社員のモチベーションを高め、社員満足度の向上にもつながるはずです。
大切なのは、どのような働き方であっても、従業員のスキルアップやキャリアの幅を広げるために、企業が一丸となって背中を押してくれる制度や風土があることです。
営業組織においては、マネージャーが多様性を理解し、一人ひとりの能力を見極め、高めることで、売上利益を最大化することを考えなければなりません。
雇用主がこのことを意識すれば、労働者はその会社が多様であるか否かを見分けるようになります。
雇用主は、選ばれる会社になることで、自然と優秀な人材が集まってくるようになるのです。
つまり、雇用主は労働者を選ぶ立場にあるのであって、その逆ではないのです。そのことを意識して制度を整えることが必要です。

まとめ

以上のことを理解した上で、各企業は女性が働きやすい組織作りをする必要がある。
もちろん、女性だけでなく男性にも、それぞれ得意分野がある。
その強みを引き出すスキルや仕組みを提供し、フォローやモチベーションを上げる仕組みを用意することで、事業主は多様な人材が自発的に働く組織へと変えていくことができるのです。
それが営業組織の強化につながり、企業の生産性を高め、国全体にも良い影響を与えることが期待されます。
仕事と多様性については下記の動画も参考にしてみて下さい。

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